血液をさらさらにして血栓を予防したり、血管を拡張させる薬を服用します

循環器科で検査を行った結果、狭心症や心筋梗塞と診断されると、薬による服用治療がまず最初に行われます。狭心症や心筋梗塞は服薬治療の期間が長いので、薬の扱いには注意が必要です。医師の指示を守って正しく服用しましょう。

心臓疾患の患者さん

虚血性心疾患の薬には、大きく分けると、@血液をさらさらにすることで、血管が血栓で詰まるのを防ぐ「抗血小板薬」と、A狭くなった冠動脈を広げる「硝酸薬」の2つのタイプがあります。薬の種類や飲み方は狭心症と心筋梗塞のタイプや重症度で違ってきます。医師は患者ごとに最も安全で適切な薬を選んで、治療を進めていくことになります。

抗血小板薬
狭心症や心筋梗塞の患者さんの多くは、少量のアスピリンが処方されます。アスピリンは本来、体の炎症を抑えて熱を下げたり、痛み止めとして使われている薬(成分はアセチルサリチル酸)ですが、解熱や鎮痛の用途で使用される3分の1程度の量を使用すると、出血したときに血液を固める役割のある血小板という血液の成分に作用して、血液をさらさらにする効果があるのです。

医師の指示に従って正しく服用

アスピリンには、胃と腸で吸収される2つのタイプがあります。胃炎や胃潰瘍がある患者さんは、胃への負担を考慮して腸で吸収されるタイプを服用するとよいでしょう。胃腸障害や気管支喘息などの副作用がありますが、血液をさらさらにする目的で服用する場合は少量ですので、安全性の高いといえます。

アスピリンと同様に、血小板に作用して血液をさらさらにする薬としては、塩酸チクロピジンがあります。アスピリンよりも強力に血液をさらさらにしますが、服用して効果が現れるまでに1〜2日かかります。

特に狭心症や心筋梗塞で、心臓カテーテル治療を行い、冠動脈を補強するためにステント(金属製の網状のパイプ)を入れた人が服用することの多い薬です。副作用としては肝臓の機能障害があります。この副作用は、服用してから2ヶ月以内に現れることがほとんどで、その期間を過ぎれば問題ありません。

シロスタゾールはアスピリンや塩酸チクロピジンと同じく、血小板に作用して血液をさらさらにする効果があります。効果の強さはアスピリンと塩酸チクロピジンの中間くらいです。シロスタゾールは服用して数時間で効果が現れるため、塩酸チクロピジンの効果が現れる1〜2日までの中継ぎとして、3日間という短期間の服用を指示される場合があります。

シロスタゾールには末梢血管を拡張する作用もあるので、特に足の動脈が狭窄してして歩行障害が現れる閉塞性動脈硬化症の患者さんに積極的に使用されます。シロスタゾールの副作用には動悸があります。心拍が速くなり、ドキドキと心臓の鼓動を強く感じる場合には医師に相談します。

硝酸薬
硝酸薬には冠動脈を広げる作用があるため、狭心症や心筋梗塞の治療に使用される基本的な薬となっています。硝酸薬には即効性タイプ、持続性タイプがあり、即効性のものは発作を止めるために使います。

ニトロ剤で発作を鎮める

ニトログリセリンは、即効性で、狭心症の胸痛発作が現れたときに舌下投与して発作を抑え、持続性の硝酸イソソルビドは、狭心症や心筋梗塞の慢性期の治療に使用されます。

ニトログリセリン舌下錠は、狭心症の胸痛発作に対して、舌の裏側の粘膜から吸収されて血管に入り、心臓に直接作用して一時的に冠動脈を広げ、痛みを抑える薬です。単なる痛み止めではなく、一時的に冠動脈が広がって心筋に流れる血流量が増えることで症状が治まります。

舌下してから3分で効果が現れ、20分程度で効き目がなくなります。即効性の薬なので、発作が出たと思ったらその場ですぐに服用することが大切です。医師から、入浴や食事、歩行などの前に服用するように指示されている場合もためらわずに使用しましょう。ただし頻繁に使用すると効果は次第に薄れて効かなくなってしまいます。このため狭心症の治療をニトログリセリンの舌下投与で続けることはできません。

ニトロ剤は心臓の血管を拡張することで効果を示しますが、心臓だけでなく頭など他の部分の血管も広がるため、副作用として頭痛や血圧低下、眩暈、動悸などが起こります。このためにトロ剤を使用した際は、動き回らずにできれば座って安静にしていたほうがよいでしょう。ニトログリセリンは舌下錠のほかに、スプレータイプもあります。スプレーでは1吹きが舌下錠1錠分で、1本のスプレー缶に約100回分が入っています。

硝酸イソソルビドはニトログリセリンと同じように、冠動脈を広げて発作を防ぎます。即効性はありませんが、効果が持続するように作られているので、狭心症の発作を予防するために服用を指示される場合があります。硝酸イソソルビドには錠剤タイプと、テープになっていて体に貼り付けるタイプがあります。

使用上覚えておきたいのは、薬を飲まなければ発作のリスクは常にあるということです。また、血管が広がって血圧が下がるため、服用を始めてから安定するまでは血圧に注意する必要があります。

これらの薬を使っていて、胸痛発作が多くなってきたときに、自分の判断で服用する薬の量を増やしたりするのはNGです。硝酸薬は長い間使うと次第に効果が弱まってくるものです。自己判断で量を増やしても効果がないばかりか、眩暈や血圧低下などの副作用を増やすきっかけとなります。

副作用として最も多くみられるのは頭痛ですが、体が薬に慣れてくると段々痛まなくなってきます。頭痛のほかには発疹、かゆみ、眩暈、動悸、むくみ、腹痛、倦怠感、口の渇きなどがあります。

心臓病以外の薬(糖尿病や高血圧等の生活習慣病など)を新たに服用するときや、市販の風邪薬や胃薬などを購入して服用するときは、必ず今どんな薬を服用しているのかを医師や薬剤師に報告します。

薬の種類によって飲みあわせが悪く、効き目が強く出すぎたり、逆に全く効かなくなったりしまうこともあり、危険です。処方された薬はお薬手帳にまとめておくと便利です。