心房細動は65歳以上の約5%に認められ、高齢化に伴い更なる患者増加が予想されます

診察機会の多いタイプの不整脈

心臓は1分間に60〜80回、1日に約10万回拍動し、全身に血液を送り続けています。この拍動は、心臓の刺激が右心房の洞結節から始まる刺激伝導系という心筋線維を通じて心臓全体に瞬時に伝わることによって起こります。不整脈とはこの心臓のリズムの異常のことをいいます。

不整脈の自覚症状として胸がドキッとしたり動悸やめまいなどを感じることもありますが、無症状で診察時や健康診断などで発見されることも少なくありません。診断には12誘導心電図や24時間ホルター心電図等が有用です。

不整脈には多くの種類があり、治療の必要のないものから早急に治療しないと命に関わるものまであります。最近、駅や公共施設などでよく見かけるAEDは心室細動という致死性の最重症不整脈を治療するためのものです。

一方、心房細動は、日常よく遭遇する不整脈で、時間的経過から発作性、持続性、慢性心房細動などに分類されます。心房細動の問題点は、65歳以上の約5%に認められるとされ、高齢化に伴い今後の患者数はさらに増加することが予想される点、動悸・息切れ等心不全症状の原因となること、心房が不規則に収縮しているため心房内に血栓ができて、大動脈を介して脳や腎臓等で塞栓症を発症するリスクがあることなどが挙げられます。

心房細動を起こす原因はいろいろあります。虚血性や高血圧性など心臓に原因がある場合、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸器疾患によるもの、甲状腺機能亢進症、低カリウム血症などによるもの、その他原因が不明な孤発性のものがあります。また、誘因として過労、ストレス、喫煙、暴飲暴食等も指摘されています。

心房細動の治療は、リズムを元に戻すか心拍数をコントロールするかの議論もあり、発作性か慢性か、基礎疾患や年齢などにより対応が異なり一筋縄ではいきません。使用薬剤も抗不整脈剤、強心剤、抗凝固剤などがあります。また、適応があれば心臓カテーテルで心房筋の一部を電気で焼却する治療や心臓手術まで選択されることもあります。