動脈硬化を進行させる高血圧は早めの対処が必要

血圧を測定する様子

血圧の高い状態が続くと、血管に強い圧力が常にかかっているため、それだけ動脈への負担も大きくなりダメージを受けやすくなります。血圧の高い人は、血管が傷つきやすく、そこからコレステロールなどが浸入して瘤を形成し、動脈硬化が起こりやすくなるのです。

高血圧は自覚症状がほとんどないにもかかわらず、致命的な病気の元となる動脈硬化を進行させていくので糖尿病や高脂血症と並んでサイレント・キラーと言われています。高血圧が長く続くと、動脈硬化が進行し、心臓病や脳血管障害がいつ起こってもおかしくない状態となっています。

血圧が少し高い状態になったときから動脈硬化は進行をはじめます。収縮期血圧(最大血圧)120〜139、拡張期血圧(最小血圧)80〜89mmHgの状態を「前高血圧」と呼んでいますが、高血圧の一つ前のこの段階から生活習慣を見直す必要があります。

厚生労働省の研究班が行った疫学調査でも、血圧の高い人は心臓病や脳血管障害になる人の割合が高いことが明らかになっています。心臓病と脳血管障害のどちらになるかは、動脈硬化で出来た血栓が脳に行くか心臓に直撃するかの違いですが、日本人の場合は脳血管障害を発症する率の方が高いようです。

男性では収縮期血圧が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患になったり、死亡するリスクが15%ほど増加します。動脈硬化の予防が重要となりますが、1日の塩分摂取量を3g減らすと収縮期血圧を1〜4mmHg下げる効果があるといわれています。

どの程度まで血圧が上昇すれば、治療を開始したほうがよいのかは、患者さんの病状、年齢、合併症の有無、そして医師の考え方によって多少の違いはあるものの、収縮期血圧が160mmHg、拡張期血圧が95mmHgを超えたら治療を始めるというのが原則です。

「治療が必要」と聞くと、直ぐに降圧剤を服用しなければならないのかと心配する方もいますが、大抵の場合、食生活の改善、運動、ストレスの解消、急激な温度変化を避ける、睡眠を十分に摂る、などの生活習慣の見直しを行い、それでも血圧が低下しない場合になって、初めて降圧剤を使用します。

高血圧の治療には、@カルシウム拮抗薬(血管を収縮させないようにする薬)、AARB(血圧を上昇させるアンジオテンシンUというホルモンの生成を妨げる薬)、BACE阻害薬(左に同じ)、C利尿薬(尿量を増やして、血圧を下げる薬)、Dβ遮断薬(交感神経の働きを抑え、血圧の上昇を防ぐ薬)の5つのタイプの薬が使用されますが、患者さんの病状や合併症などに合わせて、最適なものが選択されます。

相互作用によって血圧の上昇をより抑えたり、副作用を防ぐ目的で、組み合わせで処方されることもあります。最近はARBと利尿薬、ARBとカルシウム拮抗薬の合剤も使用されています。