血糖値が正常な人に比べて心臓病のリスクが2〜4倍になります

動脈硬化の原因に

糖からエネルギーを取り出す働きを担うインスリンが不足したり、機能が十分でないために等分が十分に処理されず、血糖値が高くなる病気が糖尿病です。

エネルギー源である糖分は、全身に供給する必要があるため、血液中に常に一定量がありますが、これが余分になったとき、脂肪細胞に送り込んで将来の消費に備えて蓄えるように働くのがインスリンです。つまり、インスリンは血液中の糖分(血糖)が上昇し過ぎように調整を行っているのです。

厚生労働省が行った調査(国民健康・栄養調査2011)によると、糖尿病が強く疑われる成人の比率は男性で15.7%、女性で7.6%、糖尿病の可能性が否定できない人は男性で17.3%、女性で15.4%となっています。男性の3人に1人、女性の4人に1人は糖尿病もしくはその予備軍となりますが、うち4割は医療機関での治療を受けていないというデータがあります。

糖尿病はほかの病気を引き起こすことが知られていますが、特に怖い合併症なのが心臓病です。糖尿病の人はそうでない人に比べて心筋梗塞や狭心症の発症リスクが2〜4倍高まるといわれています。

糖尿病の人は神経障害によって痛みを感じにくくなっていることが多いので、心臓病の症状が出ていても気がつかなかったり、いきなり大きな発作を起こして突然死してしまったり、病院へ搬送されるケースも少なくありません。

心臓病リスクが高くなるのは、高血糖の状態が続くと血管への負担が大きくなり、動脈硬化が進行するためです。また、血液中の糖分が増えると、コレステロールが高くない人でも、血栓のもととなる粥腫ができやすくなるため、心筋梗塞を起こすこともあります。

糖尿病が悪化すると腎臓機能が低下して人工透析を受ける必要があります。透析治療を長期間受けている人は、健康な人に比べて動脈硬化の進行が10〜20年も早くなるため、心筋梗塞、心不全、脳血管障害を起こすリスクが高まります。

糖尿病の原因で重要となるのは「遺伝的体質」で、そこに「肥満」や「ストレス」が加わって発病します。肥満になると血液中のブドウ糖が多くなりがちで、その状態が続くと、それが正常と体が誤って認識してしまい、インスリンの分泌量が減少したり正常に働かなくなったりするのです。

また、ストレスは、心身に緊張状態での活動を強いるため、エネルギー源として絶えず血液中にブドウ糖を供給している状態になります。つまり、高血糖の状態が持続しているため、体がそれを正常と認識し、段々とインスリンが作用しなくなり、糖尿病の発症へとつながるのです。

糖尿病の治療は、第一に食事療法です。その人の体格、病状、生活環境(仕事の内容ほか)によって、1日の摂取エネルギーを指導してもらいましょう。続いては運動療法です。運動は筋肉のブドウ糖の取り込みを促進したり、インスリンの作用を高めたり、体の代謝機能を改善するなど、食事療法を補助する役割を担っています。

薬物療法では、血糖を下げたり、糖の吸収を抑制したり、インスリンの作用を高めるなどの作用がある薬が使用されます。服用回数や量を間違うと、逆に血圧が下がりすぎて重篤な状態になる恐れがあるので、医師の指導を守って服用することが鉄則です。