医療機関を選ぶ際には自身の病気の治療症例数を確認

外科医は技術の差が大きい

日常生活を送るなかで突然、心臓病の発作等で意識を失って一刻を争う事態にならない限り、心臓病の治療を受けるためには専門的な検査や治療を行ってくれる病院と医師を選ぶことが大切となります。

全国には大学病院をはじめとして多くの医療機関がありますが、心臓疾患(心筋梗塞・狭心症・不整脈・弁膜症・大動脈瘤ほか)に強い医療機関もあれば、そうでない医療機関もあります。

名の知れた大学病院だからといって、必ずしも循環器内科と心臓血管外科の双方で治療成績がいいとは限りません。循環器内科のカテーテル治療で抜きん出た治療実績を上げている反面、手術を担当する心臓外科医の実績はそれほどないということもあります。

同じ医療機関で働く心臓外科医も経験と技術には当然ながら差があります。治療実績のある外科医には患者が集中しやすいため、そのたった一人の医師が転職等で他の病院に映ってしまうだけで、医療機関の実績が大きく変わってしまうことも十分考えられます。

では心臓疾患の治療を受ける際にどのようにして医療機関、医師を選んだほうがよいのでしょうか。オススメなのは、例えばカテーテル治療や外科治療を受けるのであれば、どの医療機関のどの医師の評判が高いのかを循環器内科の医師に直接聞いてみることです。人脈をたどって医師に聞くのであれば、他の診療科目よりも心臓疾患の知識が豊富な循環器内科の医師に尋ねるのがベストです。

また「全国○×病院ベスト100」といったようなランキング本などに記載されている症例数と治療成績も参考になります。しかし、他の医療機関の心臓血管外科医では難しい、リスクの高い手術を行う医療機関は当然死亡例なども出るため、数字の錯覚に惑わされないことも大切です。

同じ心臓外科医でも、バイパス手術が得意の医療機関もあれば、大動脈の病気の手術の症例数が多い医療機関もあります。心臓病の治療症例数の合計を見るだけでは十分ではなく、ご自身の病気の治療症例数を見る必要があるということです。

ただし、日本胸部外科学会が実施している各医療機関の症例数や治療成績の調査をベースとして分析した結果、症例数の多い医療機関=手術死亡率が低いという報告がありますし、日本成人心臓血管外科手術データベース機構が冠動脈バイパス手術の症例数と手術死亡率の関係を調べる調査を行い、「年間40例以上のバイパス手術を実施手いる医療機関の手術成績は安定している」という結果を公表しているので、基本的には症例数が多い医療機関がいい病院といえるでしょう。

土日や祝日、年末年始を除いて考えてみた場合、年間100例以上の心臓手術を行っている医療機関は、週2〜3回は治療を行っている計算になるため、かなり専門的に心臓の治療を行う信頼性の高い医療機関といえます。

心臓手術は、手術を行う執刀医をはじめ、麻酔科医、看護師、臨床工学士などの医療専門職が、その治療について経験を豊富に積んでいることが大切です。心臓の手術は危険が伴うため、予測しなかったアクシデントが発生することもありますが、そういうときこそ経験が問われます。症例数が多いということは、それだけアクシデントに対応する引き出しが多いことになります。