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日本循環器心身医学会へ

第65回日本循環器心身医学会 心とからだ そして西洋と東洋 メタボリックシンドロームを巡って

会長挨拶

笠貫宏:笠貫 宏 日本循環器心身医学会 理事長

日本循環心身医学会は循環器PSM(Psychosomatic Medicine)の会が発展したものです。循環器PSMの会は、昭和47年に日野原 重明先生、故石川 中先生、鈴木 仁一 先生によって、循環器領域に心身医学を導入・普及させるために設立され、長年にわたり多くの成果を上げて参りました。平成15年、日本循環器心身医学会となり、通算しますと第65回という長い歴史を有する学会です。心臓病の患者さんの多くは命におびえ、心の悩みや苦しみを持ちながら生活の質(QOL)は著しく低下し、最近、心臓病の患者さんのストレスや不安やうつが病気の発症や生命予後にさえ影響することが明らかにされており、本学会の果たすべき役割は益々増大しています。

 昨年、本学会は、心臓疾患患者さんと家族の方々の心のキュア・ケアを医師のみならず、関連領域の方々(看護師、保健師、心理士、音楽療法士、アロマセラピスト、アートセラピス ト、栄養士、臨床工学技士、臨床検査技師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、ソーシャルワーカー、医学情報担当者等)とチームを作り皆で考え実践していく ことを目的とした学会として大きく生まれ変わりました。このように多くの職域の壁を越えて1つ目標に向かって新たな学際的領域を創造していくという観点から、本学会はわが国においては画期的なものであり、きわめて先駆的な学会として第一歩を踏み出すことが出来ました。

 今回、引き続き会長を拝受した私の義務は新たな学会の理念と形式を確固たるものにすることだと思います。第65回学術集会のテーマは『融合と創造の医療―心とからだ、そして西洋と東洋―』に致しました。我が国の心身医学の生みの親である故池見酉次郎先生は 昭和59年の本学会の教育講演“フロイドと全人的医療”で東洋医学と心身医学との関連についてお話になりました。それ以 来私にとって心身医学と伝統医学・自然療法の連関は大きな関心事でした。また私が今年秋 第11回日本補完代替医療学会会長を拝命しておりましたので、理事会の御承認を得て 両学会の合同学術集会を開催することにいたしました。メタボリックシンドロームを共通テーマとして循環器心身医学と補完代替医療の融合と新たな医療の創造に挑戦してみたいと考えています。特別講演として、Duke大学の James A. Blumenthal 先生に“冠動脈疾患の心身医学”、鹿児島大学循環器内科教授の鄭先生に“革新的治療としての和温療法話”、を御願い致しました。また、Webカンファレンスとして“メタボリックシンドロームの心理社会的側面”、教育講演として“感覚からメタボリックシンドロームへのメッセージ(味覚から、聴覚から、嗅覚から)”を企画しました。さらに 昨年に行った各専門領域の方々にご参加いただく患者さんから学ぶケースカンファレンスを本学会の特徴として確立したいと思います。最終日には「メタボリックシンドロームへの新たな挑戦―こころとからだ 、そして伝統から-」をテーマにした市民広場を開催する予定でございます。 

各職域の専門家が集い、今回は伝統医学・自然医療を心身医学的観点から学び、学際的な学会として心臓病の患者さんの心のキュア・ケアに関わる、学問的体系を確立し、実践するシステムを構築していくことを願っています。

平成20年5月吉日